きものの雑学

袖にする

袖にする

和服文化において「袖」は、感情や人間関係を象徴する重要な部位とされてきました。たとえば、「袖を濡らす(涙を流す)」「袖を分かつ(別れを告げる)」など、袖にまつわる表現は数多く存在します。
このような背景から生まれた「袖にする」という表現は、親しい人や思いを寄せてくれている相手を冷たくあしらい、関係を持とうとしない態度を意味します。着物の袖が衣服の“本体”ではなく“付属”であることから、「袖のように扱う」=軽んじる、という比喩的な意味が込められていると考えられています。
この表現は、特に恋愛の場面でよく使われ、一方的に関係を断ち、相手に冷淡な態度を取るような状況を表す際に使われます。